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つくり手から探す

つくる人の生き方にふれて、
心が動く一品を選ぶ。

純粋な探究心

- 機能美を求めた木製食器 -

白鷺木工

石川県加賀市

白鷺木工 戸田勝利さん

 

略歴

山中温泉の木地工房「白鷺木工」の3代目。大学まで野球に打ち込み、卒業後は山中町役場(現・加賀市役所)へ就職。その後、地元の職人の言葉をきっかけに家業を継ぐことを決意。木地職人に弟子入りし、挽物轆轤技術研修所で学んだ後、家業へ戻る。現在は自社ブランド「SHIRASAGI」を立ち上げ、山中漆器の新しい形を模索している。

 

ものづくりで大切にしていること

白鷺木工は山中漆器の木地づくりで地域の多くを支える工房。伝統的な挽物轆轤の技術を活かしながら、「使いやすさ」を何より大切にしている。新しい商品は必ず自分で使い、日常の中での使い心地を確かめながら形を整えていく。

 

仕事観・人生観

問屋からの発注だけでは、誰が使っているのか分からない。そんな違和感から、使い手の顔が見えるものづくりを目指すようになった。使う人を想像しながら丁寧に作ることで、ものの完成度は自然と高まると考えている。

 

ストーリー紹介

自社ブランド「SHIRASAGI」を立ち上げたきっかけは、職人としての素朴な疑問だった。「自分たちが作った器は、誰がどんなふうに使っているのだろう」。その問いを起点に、仕上げを担う漆器職人の声を聞き、工程を見直し、使い心地を徹底的に追求するようになった。戸田さんが大切にしているのは、「使えるからこそ、美しい」という考え方だ。

純粋な探究心

平安時代に1羽の白鷺がきっかけとなり、生まれたのが石川県加賀市にある山中温泉。その山中温泉街から少し山奥に入った場所に工房をもつ白鷺木工は、山中漆器の木地(漆を塗る前の段階)のシェア5割を誇る。3代目の戸田勝利さんは自社ブランド「SHIRASAGI」を立ち上げた。そして、その起点は”職人としての純粋な感情”だった。

 

地元の職人さんの”困る”がきっかけ

 

白鷺木工は、石川県大内村から移り住んできた戸田さんの祖父が1970年に創業した。祖父の他界を機に戸田さんの父が後を継いだ。

戸田さんは、父の影響で小学校の時に野球を始め、野球推薦で関西の大学へ進んだ。

「学生時代は、家業を継ぐことは全く考えてなかったんですよね」

社会人野球の道へ進む話もあったが、怪我をしたため断念。山中町役場(現加賀市役所)へ就職した。

 

 

「仕事中に偶然近くにいた木地の職人と話した時、『白鷺木工のような材木屋さんがいなくなると山中漆器全体が困る』という話を聞いたんです」

地元の職人や山中漆器の技術を知る中で、徐々に家業への意識が変わっていった戸田さんは、リーマンショックが起きた2008年の冬に差し掛かる頃、市役所を退職した。

 

職人として感じた違和感

 

家業を継ぐために、まずは地元の木地職人に弟子入りし学んだ後、挽物轆轤(ひきものろくろ)技術研修所へ2年間通い、さらに技術を学んでから白鷺木工で本格的に仕事を始めた。

 

 

「木地屋の仕事は、漆器問屋さんから発注を受けることが多かったんです。ただ、それでは使ってくれている人のイメージができなかった。それが気になり始めたんです」

戸田さんが仕事に慣れた頃に感じた違和感だった。これをきっかけに、直接エンドユーザーに関わることができる自社ブランドの立ち上げを考えるようになった。

「ブランドを立ち上げるためには、今受けている仕事を減らす必要があった。でもブランドがうまく行くか分からかったので、売上が補えるのか正直不安でした」

それでもやることを決めたのは、使う人が本当に満足するようなモノづくりをしたかったからだ。

 

 

「使ってくれる人の理解が深まったことにより、更に丁寧に仕事をしようと思うようになりました。そのために、仕上げ工程を担う漆器職人さんに話を聞きにいったりして、それまでの当たり前を全て見直し、改善しました」

自分たちが作ったものを誰がどんな風に使っているのかを知りたい、そして満足度を上げるために、自分たちが工夫できることは無いのか。

そうした職人としての純粋な感情が、「SHIRASAGI」立ち上げの背景にあった。

 

使えるからこそ、美しい

 

「一番のこだわりは、使いやすさ。あまりモダンすぎてもダメだけど、やはり江戸時代から続く伝統的な形は、使いやすいんです」

 

 

戸田さんは、新商品を売り出す前に、サンプルを作り、自分で使ってみて「使いやすさ」を試している。

「使いやすいものって、美しいんです」

工房に行って、白鷺木工の食器を手にとった時、伝統的な技術の中に洗練された美しさがあると感じた。
それは、戸田さんがこだわっている”使いやすさの追求により生まれた美しさ”だったのだと思う。

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