一日の始まりを少し特別に
朝の光が差し込むキッチンで、棚からこのマグカップを取り出す。その瞬間にパッとその場が明るくなるような、不思議な力を持った器です。 コーヒーの香りと共に、一珍(いっちん)の立体的な花模様にそっと指を滑らせてみる。

手描きならではのわずかな揺らぎや、土もののしっとりとした重みが、忙しい日常に「一息つくこと」の大切さを思い出させてくれます。
モダンでありながら上品な佇まいは、いつもの食卓をそっと彩ってくれるはずです。
ずっと触れていたくなる、ツルリとした質感と立体感
このマグカップを手に取って驚くのは、その心地よい手触りです。 鮮やかな赤い釉薬は、まるで磨き上げられた石のようにツルツルとなめらか。

その光沢のある質感の上に、職人が泥を絞り出して描いた白い花模様が、ぷっくりと立体的に浮かび上がっています。この「ツルリ」とした肌触りと「凸凹」とした手仕事の感触の組み合わせが楽しく、飲み物を口に運ぶたび、ついつい指先で模様をなぞりたくなるような愛着が湧いてきます。

伝統を更新する、山下陶苑の「一珍」技法
400年の歴史を持つ波佐見焼。その地で1984年に創業した山下陶苑は、型作りから焼き上げまでを一貫して行う稀有な窯元です。 この美しい「白」以外の色彩を可能にした一珍の表現は、三代目・山下和久さんの飽くなき探究心から生まれました。

「自社にしかできないモノづくり」を目指し、夜な夜な研究を重ねて辿り着いた独自の製法。量産品にはない、クラフト感が伝わる繊細な質感と、手間を惜しまない手仕事が、この一客に本物の個性を与えています。


(取材・執筆:monotomoi編集部)
本質と知的好奇心の追求
長崎県東彼杵郡川棚町
山下陶苑 山下和久さん
略歴
高校でデザインを学び、陶磁器の専門学校を卒業後、1984年創業の家業である山下陶苑に入社。3代目社長に就任し、波佐見焼では珍しい一貫生産体制を維持しながら、自社ブランドの開発に注力している。
ものづくりで大切にしていること
「自社にしかできない製法・技法」の開発をすること。一珍(いっちん)技法において、従来は白のみだった表現を多色展開できるようにするなど、独自の技術追求を欠かさない。量産品にはない「クラフト感」や、感性を刺激する質感を釉薬の配合によって実現している。
仕事観・人生観
「世の中にないものを作る楽しさ」を原動力とし、完成時の達成感を追求する姿勢。つくり手自身がワクワクしながら取り組むことが、良いものづくりに繋がると信じている。「作りたい」という意欲を持つ社員と切磋琢磨し、感性を活かせる環境を大切にする。
ストーリー紹介
厳しい経営環境を打破するため、通常業務の後に夜遅くまで独自の技法開発に明け暮れた「探究心」の人。「窯からモノを取り出す瞬間が一番楽しい」と語る、根っからのものづくり好きとしての顔と、経営者としての視点を併せ持つ。苦境さえも「ものづくりの喜び」へと昇華させてきた、一人の表現者としての深みが滲み出ている。
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サイズ/重量/容量について
サイズ:Φ8.5 × H10.0 cm
取り扱い上の注意について
※電子レンジや食器洗浄機もOKです。オーブン機能・トースター・直火での使用はご遠慮ください。